1 術後の管理
心内修復術後は,生涯にわたる定期的な経過観察を行う.特に,遺残短絡,房室弁機能障害,右室及び左室拡大,両心室機能障害,肺高血圧,左室流出路狭窄,不整脈の出現に注意を要する.また房室中隔欠損(AVSD)では,房室結節,並びにHis 束が通常より下方偏位しているため,初期より房室伝導遅延を認めることがある.成長とともに,房室伝導遅延が悪化する可能性が指摘されており,定期的な心電図,並びにホルターによる房室伝導の評価が必要である. ①運動制限 術後管理において,心臓の状態に合わせた適切な生活規制が,非常に重要である.心内修復術後,有意な遺残病変を認めない症例では運動制限をする必要は無い.また,左側房室弁閉鎖不全があっても,自覚症状を認めず,著明な左室拡大,左室駆出率の低下がなければ,体育の授業は制限をしない(レベルC).重度の左側房室弁閉鎖不全,不整脈,左室流出路狭窄,左室の著明な拡大,左室機能の低下を認める場合,その程度に応じた運動制限が必要である.②肺高血圧 1歳までの心内修復術,あるいは肺動脈絞扼術により高肺血流が是正された場合には,二次性肺高血圧の遠隔期の進行は予防されるが,本疾患に多くみられる21トリソミーとの関連において,不可逆的な肺血管性肺高血圧症が出現しやすいとする説もある.治療については,「総論5 先天性心疾患術後遠隔期の肺高血圧」 の項を参照のこと.③妊娠 妊娠については,「総論9 妊娠・出産」 の項を参照のこと.
先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン (2012年改訂版) Guidelines for Management and Re-interventional Therapy in Patients with Congenital Heart Disease Long-term after Initial Repair(JCS2012)
【ダイジェスト版】