2 右室流出路狭窄
①経過観察と再侵襲的治療の適応

 臨床症状と心エコー検査で定期的に経過観察を行う.心エコー検査による右室機能,運動負荷試験,肺血流シンチによる左右肺動脈血流分布の評価が必要である.

 軽度の右室流出路狭窄で右室拡大がない無症状例は,1 年ごとの定期検査を検討する(レベルC).中等度の右室流出路狭窄で右室拡大を認める例は,6 ~ 12か月ごとの右室機能評価を検討する(レベルC).右室流出路狭窄や右室拡大が無くても安静時ならびに運動誘発性期外収縮を認めるものは,6~ 12か月ごとの右室機能評価を検討する(「総論4 不整脈」の項を参照のこと).高度の右室流出路狭窄(PG≧ 50mmHgあるいはRVP/LVP≧ 0.7)で,経皮的カテーテル治療または手術適応を検討すべきである(レベルC).右室流出路に対する再侵襲的治療前には,冠動脈の評価が必要である(クラスIIa,レベルC).

②術式選択と予後

 外科的解除法としては,パッチによる肺動脈拡大が行われ,狭小弁輪例に対しては弁輪拡大が適用され,肺動脈狭窄再発率は低い(クラスIIa,レベルB).一方,経皮的アプローチのバルーン拡大術の成功率は外科治療より低いが,非侵襲的で繰り返し行える利点がある(レベルB).バルーン拡大後の狭窄病変部は身体発育に応じて成長することが報告されている.ステント留置法とバルーン拡大術の比較では,狭窄部拡大率,圧較差減少率,右室/大動脈圧比低下率はステント使用例が良好であったと報告されている(レベルC).
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先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン
(2012年改訂版)

Guidelines for Management and Re-interventional Therapy in Patients with Congenital Heart Disease Long-term after Initial Repair(JCS2012)
【ダイジェスト版】