1 術後の管理
 上肢高血圧や上下肢の血圧差は,再縮窄の最も確実な所見である.

 安静時に上下肢の血圧差を認めない場合でも,運動負荷により著明な血圧上昇や血圧差の出現を認めることがあり,可能な年齢では,トレッドミルやエルゴメータなどの運動負荷検査実施を検討すべきである.

 胸部X線での大動脈弓部陰影の拡大は,動脈瘤形成の重要な所見である.心電図では,左室圧上昇に伴う左室肥大所見やST・Tの変化に注意する.心エコーでは,大動脈弁や弁下狭窄,僧帽弁病変など心内病変の有無,左室機能や壁厚の評価,上行大動脈,大動脈弓部,胸部下行大動脈など,可能な限り大動脈各部位の血管径,大動脈弓部による大動脈血流速度,下行大動脈における血流パターンなどの評価が奨められる(レベルB).

 MRI またはマルチスライス(MSCT)は,再縮窄や動脈瘤の合併が疑われる場合の形態評価に有用とされる.放射線被ばくの点からはMRI が有利であり,術後例では臨床症状や所見の有無に関わらず,可能な限りMRIによるスクリーニングを行うことが推奨されている.
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先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン
(2012年改訂版)

Guidelines for Management and Re-interventional Therapy in Patients with Congenital Heart Disease Long-term after Initial Repair(JCS2012)
【ダイジェスト版】