人工心臓弁は,主に生体弁と機械弁に大別される.生体弁は抗血栓性に優れ,生理的中心流を有するという優位点があげられるが,耐久性に問題点がある.それに対し,機械弁は耐久性に優れるが,抗血栓性,人工弁圧較差などの問題点がある.肺動脈弁置換は, Ross 術や肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損の右室流出路再建で行われ,異種生体弁が主に用いられる.生体弁は若い世代に良い適応であるが,より長期に再手術を回避したい例には機械弁も有用である.大動脈弁置換術,僧帽弁置換術での機械弁の耐久性は安定している.機械弁は,抗凝固療法を一生続ける必要があるため,生体弁であるCarpentier-Edwardsウシ心膜弁(CEP弁)を用いる場合もあるが,年齢,耐久性,抗凝固療法を考慮に入れた人工弁選択が必要である.
先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン (2012年改訂版) Guidelines for Management and Re-interventional Therapy in Patients with Congenital Heart Disease Long-term after Initial Repair(JCS2012)