3 人工弁
 人工心臓弁は,主に生体弁と機械弁に大別される.生体弁は抗血栓性に優れ,生理的中心流を有するという優位点があげられるが,耐久性に問題点がある.それに対し,機械弁は耐久性に優れるが,抗血栓性,人工弁圧較差などの問題点がある.肺動脈弁置換は, Ross 術や肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損の右室流出路再建で行われ,異種生体弁が主に用いられる.生体弁は若い世代に良い適応であるが,より長期に再手術を回避したい例には機械弁も有用である.大動脈弁置換術,僧帽弁置換術での機械弁の耐久性は安定している.機械弁は,抗凝固療法を一生続ける必要があるため,生体弁であるCarpentier-Edwardsウシ心膜弁(CEP弁)を用いる場合もあるが,年齢,耐久性,抗凝固療法を考慮に入れた人工弁選択が必要である.

 先天性心疾患に対する人工弁置換術では,患児の成長を考慮に入れる必要がある.患児,疾患によって使用できる人工弁のサイズは規定されるため,術後の経過観察のポイントとして人工弁サイズの評価を常に念頭におく.
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先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン
(2012年改訂版)

Guidelines for Management and Re-interventional Therapy in Patients with Congenital Heart Disease Long-term after Initial Repair(JCS2012)
【ダイジェスト版】